Tapir Wachswaren(タピール・ヴァックスヴァーレン)について TAPIRブランドのはじまり Tapir Wachswaren(タピール・ヴァックスヴァーレン:以下タピール) は、1983年にドイツ中部ニーダーザクセン州、ハルツ山地にほど近い小さな村に誕生しました。当時学生だったボードーは、小さな悩みを持っていました。それは、靴磨きでした。大切な靴を磨きたいのに、天然素材だけで作られたワックスがなかったのです。いろいろなワックスを試したり、あちこち探してもみました。でもたいていのワックスは、いやなにおいがしたり、石油系の染料が入っていたりしていました。そこでボードーは、友人たちとともに自分達でワックスを作ろうと考えたのです。 調査と研究 ボードーたちは、まず皮革用のワックスはどのようなものだったのかを調べました。製造に関わっている人たちに尋ねたり、多くの文献をあたったり。そしてついにタピールの靴クリームの基礎となった19世紀の古いレシピを見つけました。当然のことながら、革をどうケアしたらいいかは、革を使っていた長い歴史とともに存在していたのです。でも、当時のレシピはあまりに古く、再現するのは簡単ではありませんでした。でもボードーたちはあきらめませんでした。試行錯誤の末、ようやく納得のいくものが出来上がりました。そして、天然の素材だけが皮革にとって最良のケアになるということに彼らは気付いたのです。 ワックスの今昔 巷で売られているワックス製品のほとんどは、新素材のワックスや石油系のオイルや有機溶剤、タール色素などを含み、石油化学系の乳化剤や酸化防止剤などが含まれています。しかしこれらは、石油が登場するまで存在すらしていなかったものです。ところが石油系の素材には、残念ながら「利点」がありました。価格が安価で、製造が簡単で、大量に生産するためには好都合だったのです。皮革製品の大量生産・大量消費ともあいまって、これらのものがたくさん作られるようになりました。しかしこれらの素材は環境に、そしてまた人体にも有害な影響をもたらします。それだけでなく、自然素材である革にとっても、柔軟性をなくしたり、ひび割れの原因となったり、悪影響を与えてしまうのです。 靴磨きを楽しむ こうして、自然とともに歩んできた人間の長い歴史を基礎に、天然素材だけを使った製品を作りはじめたタピールは、今年で21才。今も、原産地が確かなだけでなく、採集・精製もそれぞれに適した方法で行なわれ、そしてまた品質も優れた原料素材を追求しています。こうした原料である自然のワックスやオイルは今日の私たちには、なじみの薄いものになってしまっているかもしれません。しかしそのすべてが、長い時間の中で私たちの先祖が培ってきた、いわば人間の知恵なのです。それは革にとって何が本当に必要なのかを追求するための長い研究の過程でもあったのです。タピールはその成果を現代に取り戻したいのです。そしてそれは、靴磨きが楽しくなる、ということでもあるのです。 「本当に必要なものは何か?」――タピールの製品作りの基本です。
参考資料 : Tapir Wachswaren Japan |